インプラント治療
歯を失ったあごの骨に、体になじみやすい材料で作られたインプラント体を埋め込み、それを土台にセラミックなどで作った人工歯を取り付けたものです。
インプラント体は拒否反応が極めて少ないチタンでできており、骨と結合するためずれにくく、残っている歯への負担がありません。
そのため、自分の歯(天然歯)に近い機能や審美性の回復が可能です。
一般的な虫歯治療などに比べて治療期間が長く、保険治療に比べて高額な自費治療になるので、当院ではメリットとデメリット、患者様お一人おひとりのお口の中の状態をしっかりと検査し、ご納得いただいた上で治療を行っております。
メリット
o 他の歯に負担をかけない
インプラントの土台は顎の骨であるため、他の歯に負担がかかることはありません。
o ずれたり外れたりしない
固定式でしっかりと装着するため、入れ歯と違いずれたり外れる心配はほとんどありません。
o 噛む力が強い
入れ歯は本来の噛む力の3割程度しか回復できないと言われています。インプラントは天然歯と同様に骨を土台とするため、噛む力を大きく回復することができます。
デメリット
o 外科手術が必要
骨に直接インプラント体を埋め込む手術です。手術は全身状態が悪いと行うことができません。(当院では大学病院口腔外科にて患者の全身的・医学的背景を考慮した診断と治療を学んだ歯科医師が担当します。)
o 保険外診療のため治療費が高額
インプラント治療は保険適用とならないため、治療費が高額になります。(医療費控除対象となる場合がございます)
o 治療期間が長い
インプラント体を埋め込んだ後、骨とインプラント体の結合を待つため、歯が入るまでの期間が長くなります。(定期検診やクリーニング、他の歯の治療と合わせて予約を取ることもできます)
o 術後メンテナンスを怠ると脱落の可能性がある
インプラントは形態が人口歯と異なるため、天然歯に比べお手入れが難しく、メンテナンスを怠るとインプラント周囲炎を発症して抜けてしまう可能性が高まります。(患者様のお口の状態によって、メインテナンス頻度は変化します)
インプラントと歯周病
インプラントは顎の骨にネジ状の構造物を埋め込む治療法のため、顎の骨を溶かす歯周病と非常に相性が悪く、歯周病が残っている方には手術を行うことができません。
インプラントの歯の部分は人工歯なので虫歯になりませんが、歯肉とインプラントの間に汚れが溜まると、自分の歯の歯茎で起きる歯周病と同じような症状を示す「インプラント周囲炎」にかかりやすいといわれています。
歯周病が進行すると顎の骨を溶かし自分の歯が抜けるように、インプラントが脱落する原因になります。
インプラントの治療後も、歯周病の治療後と同様に、定期的なメンテナンスがとても大切です。
インプラントの構造
⚫︎ 人工歯根(インプラント体)
フィクスチャーとも呼ばれ、顎の骨に埋めるネジ状の人口歯根です。生体親和性の高いチタンという金属でできた構造物で、チタンは骨としっかり結合することがわかっています。
⚫︎人口歯( 上部構造)
お口の中に露出する人工歯の部分です。当院では身体との相性が良く、天然歯に色調の近いセラミックでおつくりしています。
⚫︎ 連結部分(アバットメント)
インプラント体と人口歯の連結部分です。
上部構造の方向を決定し、人口歯の土台となります。チタン合金などでつくられることが多い構造物です。
インプラント治療手順
01
Counseling
カウンセリング
まずはお悩みやご要望を伺っていきます。欠損治療の方法(入れ歯、ブリッジ、インプラント)についてご説明いたします。不明点や知りたいことがあれば、なんでもご質問ください。詳しい説明を聞いていただき、インプラント治療を希望される場合は、精密検査へ進みます。
02
Examination / treatment explanation
精密検査・治療計画の説明
レントゲンや歯科用CTを用いた検査や、全身状態の問診、口腔内審査などを行い、治療の可否について診断します。治療可能であれば、どのような計画で治療を進めるのか治療計画を立て、その内容について患者様のご希望を伺いながら、計画を決定していきます。
また、治療の準備段階として、顎の骨の中の神経や血管の位置を考慮して、インプラントの埋入位置を設定します。より精密な手術が必要な場合はサージカルガイドを作成いたします。また、骨が足りないなどの問題があれば、骨造成などを行うかどうかも検討します。
03
Primary surgery
一次手術
インプラント体を埋める部位の粘膜を切開し、歯肉を開き、ドリルでインプラントを埋め込むための穴を形成します。このホールにインプラントを埋入し、切開した粘膜を糸で縫い合わせて1回目の手術は終了です。
手術時間は本数にもよりますが、おおよそ20~30分程度です。
インプラント体と骨が結合するまで上顎(上あご)では6カ月前後、下顎(下あご)では3カ月前後待ちます(免荷期間)。
必要に応じて、同日に仮歯を作製することもあります。
当院では衛生面に配慮した特別室個室にて手術を行います。
総合病院口腔外科で手術補助経験のある歯科衛生士も在籍しております。
04
Abutment wearing
アバットメント装着
骨とインプラント体の結合が確認できたら、歯肉を切開してネジの上部を露出させます。その部分にヒーリングアバットメントを装着し、歯肉の傷が落ち着くのを待ちます。歯肉の形が整ったところで上部構造を作るための型取りを行います。
05
Superstructture mounting
上部構造装着
理想的な噛み合わせになるように設計した上部構造をアバットメントに装着します。必要があれば、噛み合わせの調整を行って治療は完了となります。まずは日常生活を過ごしていただき、問題があれば適宜調整を行います。
06
Maintenance
メンテナンス
インプラント治療後は、歯科医師の指示に従って日々のセルフケアを行っていただき、歯石や歯垢(プラーク)が溜まらないようにすることが重要です。また、定期的に歯科医院を受診し、レントゲン検査やクリーニングなどのメンテナンスを受けるようにしましょう。
インプラント手術のための当院の設備
歯科用CT
歯科用CTは、従来のレントゲンとは異なり、コンピュータ上に骨の状態や形状を3次元で表示することのできるレントゲン撮影機です。骨の詳しい形や骨の中の神経・血管の走行、骨の厚みや歯の状態も詳しく把握することができます。
これにより、インプラント治療によって神経や血管を傷つけたりするリスクを減少させることができ、よりよい噛み合わせの位置を探ることができます。